公務員の定年延長 いつから?

公務員の定年が延びることご存じですか。

転職を考えるにあたり、改正されていく公務員の制度もおさえておく必要があると思います。

今の定年は何歳?これからどうなるのか。今後の予定を見てみたいと思います。

出典:「地方公務員法の一部を改正する法律について(地方公務員の定年引上げ関係)」
(令和3年6月25日 総務省公務員部)

※2021年12月10日に公開した記事ですが、必要な情報を加筆して2021年12月23日に再度公開しました。

目次

公務員の定年延長(まとめ)

  • 国家公務員と地方公務員ともに、現在の定年は、基本的に60歳(専門的な職種等を除く。)
  • 2023年(令和5年)から定年が65歳まで段階的に延長される
  • 定年の延長は、2年ごとに1歳ずつ
  • S42.4.2〜S43.4.1生まれ以降の人の定年が65歳になる
  • 60歳以降、何らかの事情でフルタイムで働くことができない人のための短時間勤務の制度もある

現在の法律・条例の内容

法律等でどのように定められているか確認してみましょう。

地方公務員法
(定年による退職)(抜粋)
第28条の2 職員は、定年に達したときは、定年に達した日以後における最初の3月31日までの間において、条例で定
 める日(以下「定年退職日」という。)に退職する。
2 前項の定年は、国の職員につき定められている定年を基準として条例で定めるものとする。

この規定のポイントは、「国の職員につき定められている定年を基準」とするという点と、「条例で定める」という点です。

それでは、国の職員の定年の基準とはどのように定められているのでしょう。

国家公務員法
(定年による退職)
第81条の2 職員は、法律に別段の定めのある場合を除き、定年に達したときは、定年に達した日以後における最初の 
 3月31日又は第55条第1項に規定する任命権者若しくは法律で 別に定められた任命権者があらかじめ指定する日の
 いずれか早い日(以下「定年退職日」という。)に退職する。
② 前項の定年は、年齢60年とする。ただし、次の各号に掲げる職員の定年は、当該各号に定める年齢とする。

国の定年は、国家公務員法で定められているのです。

合わせて、自治体の条例の例を見てみましょう。

埼玉県職員の定年等に関する条例
(定年による退職)
第2条 職員は、定年に達したときは、定年に達した日以後における最初の3月31日(以下「定年退職日」という。) 
 に退職する。
(定年)
第3条 職員の定年は、年齢60年とする。ただし、次の各号に掲げる職員の定年は、当該各号に定める年齢とする。
(1)別表に掲げる施設等において医療業務に従事する医師及び歯科医師 年齢65年
(2)守衛、庁務、炊事、清掃若しくは洗濯の業務又は学校の環境の整備その他の用務に従事する者 年齢63年


さいたま市職員の定年等に関する条例
(定年による退職)
第2条 職員は、定年に達したときは、定年に達した日以後における最初の3月31日(以下「定年退職日」という。)に退職する。
(定年)
第3条 職員の定年は、年齢60年とする。ただし、医療施設等において医療業務に従事する医師及び歯科医師の定年は、年齢65年とする。

それぞれの地方自治体の地方議会において条例を議決して定めています。上記は、埼玉県とさいたま市の規定です。
微妙に違いますが、同じく定年は、60歳と定めています。

法律の改正

2021年(令和3年)6月、国家公務員法及び地方公務員法が改正されました。

地方公務員の定年は、 国家公務員の定年を基準として、各地方公共団体において条例で定めるものとされています
 (地方公務員法第28 条の2第2項(改正後は第28条の6第2項)

国家公務員法等改正法により、国家公務員の定年が段階的に引き上げられ、 65 歳とされることを踏まえ、地方公務員の定年についても、国家公務員と同様に段階的に引き上げ、 65 歳とすることが求められています
(各地方公共団体が条例改正で対応)

※ただし、職務と責任の特殊性・欠員補充の困難性により国の職員につき定められている定年( 65 歳)を基準として定めることが実情に即さないと認められるときは、条例で別の定めをすることができることとされています

地方公務員法
改正後(令和5年4月1日施行)
(定年による退職)(抜粋)
第28条の6 職員は、定年に達したときは、定年に達した日以後における最初の3月31日までの間において、条例で定
 める日(次条第1項及び第2項ただし書において「定年退職日」という。)に退職する。
2 前項の定年は、国の職員につき定められている定年を基準として条例で定めるものとする。

国家公務員法
改正後(令和5年4月1日施行)
(定年による退職)
第81条の6 職員は、法律に別段の定めのある場合を除き、定年に達したときは、定年に達した日以後における最初の 
 3月31日又は第55条第1項に規定する任命権者若しくは法律で別に定められた任命権者があらかじめ指定する日のい
 ずれか早い日(次条第1項及び第2項ただし書において「定年退職日」という。)に退職する。
② 前項の定年は、年齢65年とする。ただし、その職務と責任に特殊性があること又は欠員の補充が困難であることにより定年を年齢65年とすることが著しく不適当と認められる官職を占める医師及び歯科医師その他の職員として人事院規則で定める職員の定年は、65年を超え70年を超えない範囲内で人事院規則で定める年齢とする。

いつから定年延長される?

地方公務員の定年延長は、国家公務員のスケジュールと同様に、段階的に定年を引き上げることが求められており、地方自治体は、条例改正をするよう総務省から技術的な助言が出されています

本人の希望により、2022年(令和4年)までは現行の再任用職員として、
         2023年(令和5年)以降は暫定再任用職員として勤務することができます

(任期:1年を超えない範囲内、最長65歳に到達する年度末まで更新可能)

60歳以後に、短時間勤務を希望する場合は、退職した上で、定年前再任用短時間勤務職員として勤務することができます
(任期:常勤職員の定年退職日に当たる日まで)。

定年前再任用短時間勤務制度

定年引上げにより65歳までフルタイムで勤務することを原則とする中、60歳以降の職員の多様な働き方のニーズに対応するため、60歳以後に退職した職員を、本人の意向を踏まえ、短時間勤務の職で再任用することができる制度が創設されました

任期は、常勤職員の定年退職日に当たる日まで(勤務時間、給与の仕組み等は、現行の再任用制度(短時間勤務)と同様。)

60歳以後の給与はどうなる?

地方公務員の60歳以後の給与は、どうなるのでしょうか
地方公務員法には、「均衡の原則」というものがあり、国家公務員の取扱いを考慮して、条例で定めることが要請されています。こうしたことを踏まえると、国に準じた制度設計になることになります

※あくまで、現時点のものであり、自治体ごとに職員団体との交渉等により変更されることもあります

給料月額

当分の間、職員の給料月額は、職員が60歳に達した日後の最初の4月1日(特定日)以後、「7割水準」となります

⇒ 60歳に達した職員の給与水準について、各地方公共団体の条例改正により対応

諸手当

        手当の名称     対  応
扶養手当、住居手当、通勤手当、特殊勤務手当等60歳前職員と同様
地域手当、超過勤務手当、期末・勤勉手当7割水準の給料月額等に連動した額
管理職手当等60歳前の7割を基本とする額

60歳以後の退職手当は?

60歳に達した日以後、その者の非違によることなく退職した者の退職手当の基本額については、当分の間、退職事由を定年退職として算定することとされています。

つまり、60歳から65歳までで退職する場合は、定年に達して退職するわけではないのですが、定年退職として扱われるということになります


この「定年退職」か「普通退職」かの違いは、退職手当の額に影響があり、定年まで勤務した場合の退職手当の方が一般的に多くの手当額をもらえることになっています

早期退職募集に応募し、認定を受けて退職する場合の給料月額の割増率は、当分の間、現行定年制度下で対象とされる年齢と
割増率を維持する
(60~64歳の者が応募認定退職する場合は給料月額は割増されません)

役職定年制

今回の定年延長により、上記の改正のほか、管理職に対するいわゆる「役職定年制」も導入されています

この役職定年制は、管理監督職勤務上限年齢制と言われています
管理職の高齢化により、組織が硬直化することを防ぐ。組織の新陳代謝を確保し、組織活力を維持することを目的としています

管理監督職の職員で管理監督職勤務上限年齢に達している者を、管理監督職勤務上限年齢に達した日の翌日から最初の4月
1日までの期間(異動期間)に他の職(管理監督職以外の職等)に異動させることとしています

管理監督職勤務上限年齢に達している者を、異動期間の末日の翌日以後、新たに管理監督職に就けることはできないこととされています
(管理監督職から降任等をされた職員の場合はその日以後、新たに管理監督職に就けることはできません。)

※職務の遂行上の特別の事情がある場合などは、役職定年制を適用しない特例も検討されています

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